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無印良品の「福缶」   新作「よかっぱ」   武蔵野美大の若杉浩一教授
無印良品の「福缶」   新作「よかっぱ」   武蔵野美大の若杉浩一教授
     
 
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縁起物に「ひっぱりだこ」
無印良品の福袋に採用
熊本・天草の土人形が人気を呼ぶ 武蔵野美大の若杉浩一教授にインタビュー!

お正月元旦から公開の特別番組です!


熊本県天草市下浦町のお年寄りたちが作る手作りの土人形が今、人気を呼んでいる。メジロが3羽集い、愛嬌のある表情で高さ4センチほどの小さな土玩具だが、全国から日本の縁起物を集めた無印良品の福袋「福缶」に、採用されて話題を呼び、さらにインターネットでも注文が相次ぎ、製作が間に合わない状態だ。製作している下浦土玩具工房では作業に追われている。

作っているのは「めじろおし」のほか、高さ約9センチで、タコを引き延ばしたようなユーモラスなデザインの「ひっぱりだこ」と、地元特産品である下浦石の石切丁場に祭ってある神様をモチーフにした同じ大きさの「弁天さま」の3種類。2020年は「ひっぱりだこ」が「福缶」に採用された。

同市河浦町出身で武蔵野美大の若杉浩一教授とパワープレイスのデザイナー下妻健司さん(東京在住)らが、天草の伝統工芸品の泥人形「天草人形」の伝承を目的に、今風の土人形として2017年3月に試作品を製作した。天草人形は約300年前の江戸時代(享保年間)に肥前唐津から来た浪人の広田和平が同市本町の東向寺門前で始めたとされる。

作り方は粘土を型に入れ、抜いて貼り合わせ乾燥後、素焼きにする。研磨後に胡粉(ごふん)、泥絵の具で彩色して仕上げる。神仏像のほか福助などの縁起物やおひな様なども作られた。また潜伏キリシタン時代には山姥(やまんば)が子を抱いた人形をマリア像に見立て、信者が崇拝したとも伝わる。

若杉教授が地元の産業として発展するようにと、地域起しグループの下浦弁天会の宗像和久事務局長に話を持ちかけた。
グループのメンバーは石工など32人だが、平日の作業ができるのは定年退職した8人の高齢者たちだけ。しかも陶芸の経験者はいなかった。慣れない作業だが、下妻さんたちのアドバイスを受け、試作を重ね、研磨作業や色味など製品のクオリティーをしだいに高めていった。
昨年、同市内で開かれた見本市にも出品し、独自のデザインを見た来場者の感想は「癒される」など評判も上々で、注文が舞い込むようになった。

今の作業場は2019年5月、空き店舗を改造し、事務所を兼ねた。メンバーがシフトを組み、平日3人ほどで作業を行う。事務局長の妻で副会長の佳子さん(65)は「定年後のお年寄りが生きがいを感じて集う"じーばー産業"(地場産業)です」と楽しそうに笑った。若杉教授は「高齢化で後継者も危ぶまれている中で、新たな泥人形として蘇り、"未来の伝統"として発展してくれれば」と期待をよせている。

番組では若杉教授に天草での取り組みや、今後の抱負を語ってもらった。
「縁起物に「ひっぱりだこ」熊本・天草の土人形が人気を呼ぶ 武蔵野美大の若杉浩一教授にインタビュー!」(11分04秒)

(2020/1/1 金子寛昭)


◎関連記事:

○西日本新聞 「天草人形『よかっぱ』登場 地元のかっぱ伝説にちなんで 」(2019年11月14日朝刊)
○西日本新聞 「現代風の『天草人形』注文殺到 伝統継承へ期待」(2019年9月12日朝刊)