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夏の風物詩「虫追い祭り」
熊本・天草郡河浦町

梅雨明け間近の7月15日、熊本県河浦町一町田の一町田八幡宮の「虫追い祭り」が行われた。
地区の氏子が拝殿に集まり神事のあと、長い竹の竿に、5色の旗を交互に付け、田んぼ沿いの堤防を、 鐘や太鼓を鳴らしながら練り歩き、五穀豊穣を祈った。
孟宗(もうそう)竹2本を継ぎ足し、長さ約20メートルもある重い竿も、風になびく約5メートルほどの旗が浮力になり、大人一人でも立てて持てるほどの重さになる。
色とりどりの旗をなびかせた22本の竿が立ち並び、神社近くの一町田小学校校庭から崇円寺までの田んぼ沿いの堤防約1キロメートルを、地区の人たち約100人が練り歩く、壮大な、夏の風物詩となっている。

この祭りは約370年前、稲に付く害虫に困っていた時、老婆が氏神様に赤い布を奉納して祈願。
その布で田んぼをなでたら害虫がいなくなったといわれ、今まで続く伝統行事。
カラフルな大旗の「虫追い祭り」は全国でも珍しく、町の民俗無形文化財にも指定されている。

この地区の農家では昔、田植えが終わった旧暦の5月頃に、2、3日農作業を休み、「ダゴンハ」と呼ばれるツルの葉っぱを上下に付けて蒸す「虫追いだご」を作り、祭りに供えた。
また害虫駆除を祈ると共に、鋭気を養うための休養時期でもあった。

最近は稲作農家もめっきり少なくなり、川沿いの田んぼは休耕田ばかり。
「虫追いだご」も今は、作る家庭も少なくなった。
若い後継者が少なくなり、虫追いの竿も多いときは15本もあったが、今は7本しかない。
しかし10年ほど前から子供会も参加するようになり、今年は子供たちが持つ小振りの竿が15本あった。

行事そのものもイベント化し、日程も梅雨空の雨天を避けて7月の第3日曜日に変更された。
今では県内各地をはじめ見物客も訪れ、プロ、アマチュアカメラマンたちの格好の被写 体になっている。

一町田八幡宮総代・野田昭臣さん(72歳)は「最近は竹も少なくなり、準備も大変だが、これからも伝統文化を継承していきたい」と話していた。

 
 

 



 



 

 

 

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