御所浦魚化石
(全身化石)
御所浦魚化石
(特徴的な頭部)

新種!大型魚類の全身化石発見

恐竜と共に絶滅

天草市御所浦町



熊本県天草市御所浦町の天草市立御所浦白亜紀資料館などは2018年9月21日、同市御所浦町の白亜紀後期(約8千500万年前)の地層から、新属新種の大型魚類の全身化石が見つかったと発表した。
素早い泳ぎで小さな魚を捕らえ、恐竜と共に絶滅したイクチオデクテス目の仲間に似た特徴があり、体長は約60センチと推定される。
発見された場所にちなみアマクサゴショウラムカシウオ(学名=アマクサイクチス・ゴショウラエンシス)と命名され、7月中旬に古生物学の学術誌「ヒストリカル・バイオロジー」に発表した。
同目の魚類は世界各地で発見されているが、海に住むものはアジアで初めての発見だという。
北九州市立自然史・歴史博物館名誉館員の籔本美孝さん(古生物学)は「これまで知られていたものとは全く違う顔つきで大変、驚いた。海の魚の進化を考える上で非常に重要な発見だ」と話した。

化石は2012年3月、同町嵐口地区の御所浦架橋の工事現場から資料館に発見の連絡があり、発掘調査を行い、資料館と博物館、リオデジャネイロ州立大学(ブラジル)とで共同研究を行った。
化石は全体像が分かるほど保存状態が良く、頭部や胴体、尾ひれなどブロック状で100点以上ある。特徴的な頭部は、これまで「ブルドッグ・フィッシュ」とも呼ばれていたイクチオデクテス目魚類の顔つきとは大きく異なり、目より前の口先部分がたいへん長く、どちらかといえば「馬面」。
また口と歯が小さいことから、新属新種と判明した。
また、1箇所から10匹分以上が折り重なるように発見され、群れをなしていた可能性がある。白亜紀の海の魚類化石がこのような状態で発見されるのは世界でもあまり例がないという。

籔本さんは「天草ジオパーク」のジオサイトから産出したことに触れ、「学術的価値を高めるもので重要だ。地層のつながりを追いかけて行けばもっと新たな発見があるかもしれない」と今後の調査にも期待を寄せている。

22日から御所浦白亜紀資料館で実物化石を公開。また北九州市立自然史・歴史博物館では今月末まで複製を公開する。
(金子寛昭 2018/9/21)

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御所浦魚化石
(骨格再現図=御所浦白亜紀資料館・北九州市立自然史・歴史博物館提供)
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(復元図=山本匠さん提供)