天草のゲンジボタル
発光周期は3秒
熊本・天草高科学部が研究発表
熊本県天草市の天草高科学部の生徒たちが天草地域のゲンジボタルの発光周期が3秒だということを突き止めた。
地域によって周期が異なる点に着目。さらに気温と明るさにどのような影響を受けるのか明らかにした。
気温が上がると周期が短くなり、ホタルのエネルギーが余分に使われ、寿命が短くなると指摘。
筑波大の宮崎修一名誉教授は「地球温暖化によって生育の機会が失われていく可能性がある」と研究を高く評価した。(註1)
成虫の体長は約15ミリで、5月から6月にかけて発生。ホタルの発光は求愛行動で、雄は川の上空を飛び回りながら発光し、川辺の草などに止まって発光している雌を探す。
また東日本や西日本の地域によって発光周期が違うことも分かっていて、これまでの研究では九州は2秒型が多く、一部3秒型の集団が生息しているが、天草は調査されておらず不明だった。(註2)
ホタル班の倉田玲美さんと松﨑惺来さんは昨年、天草の5ヵ所で、雄のゲンジボタルをスマートフォンで動画を撮影し、点滅の周期を測ったところ平均が2.90秒だということが分かり、(註3)今年3月、つくば市で開催された高校生のサイエンスアイデアコンテストで発表した。(註4)
また外灯や捕虫器などの照明がホタルに悪影響を及ぼしているとも指摘。明るくなるほど光らない時間が長くなり、「雌を見つけづらくなっている」と考えた。パートナーとの出逢いがない。嘆いているのは人間だけではなさそうだ。
またこの研究成果はシンガポールで2023年7月末に行われる課題研究の世界大会「グローバルリンク」で発表する。(註5)
(金子寛昭)
(2023/6/4)
◎註:
(註1)筑波大の宮崎修一名誉教授(数理物質系物質工学域特命教授)「つくばScience Edge 2023」の審査委員。
(註2)参考文献=大場信義「ゲンジボタルの形態と発光パターンの地理的変異」横須賀市立博物館研究報告、全国ホタル研究会誌55、2001年。
九州の3秒型は熊本県山鹿市と佐賀県小城市のみ。当初は3秒型のホタルがいた九州に2秒型が入って増え、一部に3秒型が残存したと考えられている。
(註3)光ってもう一度光るまでの周期を測る。気温20度の環境で659周期分を計測。平均が2.90秒。結果は、天草地域のゲンジボタルは3秒型。
温度が上がると発光周期が短くなり消費エネルギーが増え、ホタルの寿命が短くなる。
また明るくなるほど長くなり、光らない時間のみ長くなる。
雄が光らない時間を長くし、雌が光るのを確認しているのではないかと考察。
(註4)茨城県つくば市で3月に開催された高校生の全国コンテスト「つくばScience Edge2023」サイエンスアイデアコンテストで「創意指向賞」(準グランプリ)を受賞。「グローバルリンク」の代表出場権を獲得。
研究タイトルは「ゲンジボタルの発光周期と生息環境から考察される保護方法の確立」
(註5)国際研究発表大会「グローバルリンク」2023年7月29日〜31日
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